2014年9月1日月曜日

アイス・バケット・チャレンジに見るchallengeとチャレンジの違い

みなさん、こんにちは、 ブログ復活させます!
さて、何か言われる前に急いですぐ本題に。

今年2014の夏、大いに流行ったアイスバケットチャレンジ。
ご存じ、難病ALSの認知度を上げるために、指名を受けた人は24時間以内にバケツ一杯の氷水を浴びるか100ドルをALS協会に寄付し、その動画をアップしそこで次の挑戦者3名を指名する。指名された人はまた24時間以内に、、、とエンドレスに続いていくパフォーマンスのことです。

ところで英語の Ice Bucket Challenge は日本語だとそのままカタカナで 「アイスバケットチャレンジ」あるいは「アイスバケツチャレンジ」と呼ばれていますが、ここでの英語の「challenge」と日本語の「チャレンジ」って、微妙にニュアンスが違う様な気がしますので、今日はその辺りのことを書きます。

「チャレンジ」を国語辞典で引くと
         チャレンジ〔challenge〕 ( 名 ) スル 挑戦すること。
                                                        特に困難な物事や未経験のことにいう。
                                                       「司法試験に-する」
、、と出ています。

⚪️⚪️にチャレンジする、と動詞化させて使うことが多く、⚪️⚪️にはほとんどの場合、並ならぬ努力をした結果達成できる、称賛に値する立派な行為が入ります。


「アイスバケツにチャレンジする。」
何だか 、氷水を頭からかぶることが、滝つぼ修行、滝行のごとく神聖で立派な行為かのようなイメージを私は受けてしまいます。
難病を撲滅させるための素晴らしい慈善活動に参加しています、みたいな。

一方、英語のIce Bucket Challengeではchallengeは名詞として使われています。
「アイスバケツ挑戦」という感じでしょうか。あまり日本語でぴったりの単語が思いつきません。
英語では、
I take the Ice Bucket Challenge.  (challenbeは名詞として)
I am going to challenge these 3 people next. (challengeは動詞として)
の様に使われて、
「アイスバケツチャレンジの挑戦を受けて立ちます。」
「次にこれらの3名の人に挑戦を挑みます。」
という意味になります。

 勝手に定義するとすれば、
challenge (名詞 ): 言われなければあえてやりたくない様なことを、やってみること。
challenge ( 動詞): challenge + 人 + to do〜
                                やれるものならやってみろ、と人を挑発する、人に挑戦を挑む。

とでもなるでしょうか。あくまでアイスバケットの文脈限定ですが。


そこには、前任者から、氷水をかぶるなんて勇気はお前さんにはないだろう、やれるものならやってみな。という、バカバカしい行為への挑発のイメージしかありません。
賞賛される様な立派な行為でないのが「チャレンジ」です。
子供の遊びでDare game というのがあるのですが、お互いに、これをやってみろ、と順番に言っていき、できなかったら負け、と言う。赤毛のアンで負けず嫌いのアンが危険に挑み溺れそうになって危うく死ぬか大怪我するところだった、というシーンががありますが、あれこそまさにchallengeです。

これって日本のTVのお笑い番組ででよく見たり、学生同士が酔っ払った勢いでやる、罰ゲームや一気飲み、大食い競争など、お馴染みのくだらないお遊びの類ですよ。

指名を受けたビートたけし氏が、
「俺は熱湯入って金もらう方だから氷水は浴びないよ。」と言って断ったそうですが、これこそアイスバケットチャレンジの本質を見抜いた上での、罰ゲームがお家芸の日本の芸能界の君臨者としての素晴らしい回答だと感じました。
(参考)
http://sonicch.com/archives/39814210.

これだけ流行ると、ALSという難病告知のためとはいえ、氷水を被るという蛮行は如何がなものか、という否定意見が出ていますが、そもそもくだらないchallengeが元で、そこにある時からチャリティーという大義名分が乗っかったのだと思いますよ、きっと。

ちなみに、英語のchallengeという単語で動画検索してみると、出てくる、出てくる、くだらないチャレンジの数々が。シナモンパウダーをむせずに一気飲みできるかに挑戦するcinamon challengeや、マシュマロを何個口に詰められるかに挑戦、とか、他にも激辛系とか、、、。
暇な方はぜひ一度検索して見てください。


アメリカのニュースでは、「アイスバケットチャレンジは、流行りすぎて賛否両論もありますが、少なくとも今までネット上で見せられてきたシナモンチャレンジのようなくだらないチャレンジの数々に比べれば、難病への理解促進、という良い大義名分が付いている分、初めて意義があるチャレンジものと言えるでしょう」とコメントされていました。

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なお、アイスバケットから離れて、 challengeという英語は、日本語のチャレンジと違う意味がたくさんあるので、使う時は注意が必要 な曲者です。
特に、ものごとを目的語に動詞として使うと、
〜(権威など)に対抗する。異議申し立てする。という意味になってしまいます。

「アイスバケツにチャレンジしました。」
は、
* I challenged the Ice Bucket Challenge.

と言ってしまうと、「アイスバケツチャレンジに意義を唱えた。反対した。」という意味になってしまうので、
I took the Ice Bucket Challenge.
I did the Ice Bucket Challenge.
と言わなければいけません。(他にも色々な言い方ができると思いますが。)


では、今日はこの辺で。
次回は、言葉から離れて、アイスバケットチャレンジ現象について、おまけでうちょっと
書きたいと思います。