2015年5月15日金曜日

早口ことばのEnglish、Tongue Twisterの日本語

随分とご無沙汰しております。

久しぶりの今日は、我々を悩ます英語と日本語の発音の違いについてです。

日本人の私たちは、英語ってなんでこんなに早口なんだ?とか、もっとはやくペラペラ英語が話せたらなあ、なんて始終思っているとことと思います。

ところが、日本語を教えるようになって、英語話者の生徒さんたちが日本語の発音に苦労して、挙げ句の果てに
「日本語は早すぎて発音できない」と
嘆き諦めモードになるのを見て、目から鱗になりましたよ。
「え?あなた方には、日本語の方が早いと感じられるんですか?」と。

この感覚の違いはどこから来ているのでしょうか?

具体例を挙げて見ていきましょう。

英語話者にとって初級日本語で出てくる難しい単語に
「郵便局」ゆうびんきょく
があります。

特に、最後の「きょく」が言えずに
「キャーキュー」になってしまう。
「ク」は どうしても、口を尖らせて「キュー」になってしまいます。

唇を尖らせずに平のまま言ってみて、と指導すると
ああ、口の筋肉がつる〜、とギブアップする人続出です。

英語話者は、普段口(唇)をたくさん動かすので、彼らには逆に口を動かさないように保つことが困難なのです。口は動かさずに舌だけ動かすなんてムリ、舌を動かすと口まで連動して動いちゃうよ、となるわけです。口を動かさないようキープする筋肉は普段使っていないのでとても大変なんです。

逆に我々日本人は、日本語はほとんど口を動かさなくても舌の動きだけで発音できる言語なので、口を動かす筋肉が発達しておらず、英語のように思いっきり口を縦に開けたり、横にイーっとひっぱたり、とんがらがせたりする英語の発音が、早く口を動かせなくて難しいと感じるのです。

試しにアイウエオ50音を言ってみてください。口をほとんど動かさずに言えるでしょう。
そして「ゆうびんきょく」を思いっきり口を動かしながら発音してみてください。
どう?いきなり外人さんの日本語っぽくなるでしょ?

つまり、英語と日本語では使う筋肉の場所が違うので、普段使わない場所の筋肉を多用する時、「早すぎる」「難しい」と感じるのではないでしょうか。

日本人→日本語→口や唇をあまり動かさない→口や唇をよく動かす筋肉が発達していない→そういう発音の英語は早いと感じる。

アメリカ人→英語→口や唇をよく動かす→口や唇を動かさずに平らに保つ筋肉が発達していない→そういう発音の日本語は早いと感じる。

これはまさに「静」の日本、「動」のアメリカ(英語)、の精神の違いにも繋がるようで興味深い現象です。

そこで、ふと思いついたのが、
「早口ことば」という言葉。
日本語で「口を早く動かす難しいことば」が英語では、「Tongue Twister 」と言って、直訳すると「舌をねじらせる 難しいことば」となっているところが、日本語と英語の発音の違いを端的に表していて言い得て妙だと感じました。

おしまい