2013年2月7日木曜日

分数好きのアメリカ人

こんにちは
ついこの間お正月を迎え、今年は頑張るぞ!とやる気に満ちていたのもつかの間、あっというまに1月も終わってしまいました。ブログ2回目も書かないまま、、、、。 いかん、いかん。
と言うわけで2月に入りましたが気持ちも新たに、今回のテーマ。

突然ですが質問です。
0.1センチはありますが、「0.1インチ」は存在するでしょうか?

聞くってことは、、、無いの? 引っかけ問題? 

まずはこの写真をご覧になって
ご自分の目でしっかり確かめてください。
 
        

あまり見やすくない定規で申しわけありませんが、
上部がインチ用、下部が(ひっくり返して使う)センチ用になっています。
お分かりになるでしょうか?

インチは0から1の間の区切りが15本で、1インチが16等分されているのにお気づきになりましたか?いったい一目盛はなんて読むんだ??

センチは10等分されており1目盛は1/10センチだから0.1センチ(1ミリ)です。すっきり。

一方インチは16等分されているので1目盛が・・・・・???
はい、1/16インチです。 分数でいいんです。
あえて計算すると1/16=0.0625インチです。 ふう、日本の中学受験問題のようだ。 ですから面倒なので小数点で言うことは全くありません。
定規はすべて10等分の目盛りだと信じて疑わなかったので、初めてインチの定規を見た時は衝撃的ですらありました。 (手芸をする方はこのあたり、ご経験あると思いますが。)

したがって冒頭の質問の正解は、「0.1インチは存在しない。」です。

ただしiPadやTVのスクリーンなど工業製品は7.9インチ、などとインチ表示でも10進法の小数で表示するののが慣例となっているので、正確には、「定規では」ということです。もう少し拡大して言えば、技術的には存在するけど日常生活では全く使わないし言わない、といえるでしょう。
(逆に考えれば、日本人にとって1/16センチは実存はするけど、そんなしちめんどくさい言い方はしない!」という感覚です。)

この例から分かるように、アメリカ人は分数が大好きです。
そして日本人は小数点が好き、と言えるでしょう。
普段でも、1 1/4mile とか 1/2 million people という表現をしています。
私は「3/4インチ」なんて聞くととっさにどれぐらいかわからず、0.75インチ?センチだとどのくらい?、、、なんてますます分からなくなることがよくありました。
長年この分数感覚に体がなじまなかったのですが、ある時こういうことだと気がつきました。

  日本人の発想の流れ:
1センチ → 10等分する → 真ん中が0.5。それより左だったら0を起点に0.1センチ、0.2センチ、0.3センチ、と目盛りを数えていく。 真ん中より右だったら0.5を起点として0.6、0.7、0.8 、と一目盛りづつ数える。
  アメリカ人の発想の流れ:
1インチ → その半分の1/2インチ → そのまた半分の1/4インチ →
1/8 → 1/16、と永遠に半分にしていく。
実はアメリカンだけど、不思議なことに、日本伝統「紙切り」芸の発想だったんです!1枚の紙が2枚、2枚が4枚、4枚が8枚、8枚が16枚、、、。
半分をさらに半分、という方法は計量道具が無くても測量できるので、開拓時代には便利だったのでしょうか。(機会があれば調べてみたいです。)

アメリカの学校の理科で、ビーカーに入れた液体の目盛りの読み方を教えるのですが、小学校どころか中学、高校でも教えるので、どれだけレベルの低いことやっているんだ、と驚いたのですが、もしかしたら、目盛りが10進法か分数目盛り(←私の造語です)かどうかを、見分けてから解答する、という高度な問題だったのかもしれません。
現に、料理用計量カップも分数表記のものと10進法表記のものが売られています。

ところで、英語で分数発想がどれぐらい浸透しているかの良い例が「quarter」という言葉のオールマイティーさでしょう。

アメリカのお金を思い出して下さい。硬貨は1セント、5セント、10セント、
25セントの4種類です。 5セントはまあわかるけど25セントって中途半端な、、日本で25円硬貨発行なんて発想すると思いますか?
しかし日本的には中途半端な25セントコイン、別名をクォーターといい、とてつもなく大きな存在で便利なヤツなんです。表か裏かの賭けも、メーターパーキングもクォーター無しでは成り立ちません!
このquarterは「四分の一」の意です。ラテン語の1/4から来ています。コインのクォーターは「1ドルの四分の一」という意味です。

では、25+25+25+25+25=?
なんて計算、即時にできますか?
実はこれ、アメリカの小学校2年生の算数の問題です。
答えは・・・125、、、ではありません。  1ドル25セント、です!
最初の4つの25を丸で囲んで1ドル、と置いておいて、それと余った25セント1枚、と数えます。
他にも、「1ドル85セントのノートを買いました。コインだけでの払い方を考えましょう。」なんて問題もよくあります。
答えは、例えば「クォーター7枚とダイム(10セント硬貨)1枚」
すると、次の問題は「別の払い方を考えましょう。」で、「クォーター4枚とダイム8枚とニッケル(5セント)1枚」とか別の答えを考えさせるわけです。
とにかくこうやって25セントが4枚で1ドル、というのを体にしみこませるのですね。

1/4に体が馴染んできましたね。
そうすると「4つで全体」という感覚が楽にわかるようになります。
クォーター4枚で1ドル。
4半世紀4回繰り返すと1世紀 quarter century
4学期制が多いアメリカの学校ですが1学期のことをquarterと言います。4学期(4quarters)で1year。 
時間もそうです。
クオーターは15分。quarter4回で1時間。
「第1四半期決算」などといいますがこれは12ヶ月の1/4、3カ月分の決算のことですね。
マックのクォーターパウンダーは、1/4lb = 456gX1/4=約110gの肉が入っているわけですね。

「4つで全体」の感覚はパイかピザを思い浮かべれば簡単でしょう。
半分に切ってさらに半分にきると4切れ。

さて、日本人の発想ですが、
2,4、6、8,10.と2個づつ数えたりするほどなので、2.5とか25というのは単位として意識しにくいものです。
10周年記念の次に祝うのは20周年、次に30周年、40周年、一大イベントの50周年、となります。
アメリカでは何と言っても一番大きな記念は25周年です。
quarter centuryですから。結婚25周年、創業25周年、卒業25周年。最も盛大に祝います。(その次は50周年ですが、そこまで続かない場合も多いので) 30周年は25周年よりもかなり影が薄いですね。

分数感覚をお話してきましたが、分数で言うときは分数である必然性(気持ちの上での)があるはずです。だから、分数ののままの気持ちになると体にすんなり入っていきます。 
「1/2mile 」って聞いたら、「ああ、1マイルの半分なんだな。」と思えばいいのです。わざわざ「0.5マイル」と小数点に直すと、この感覚が入ってきませんね。 分数表記は小数に直さないのがコツであります。

なかなか体に馴染まなかった分数感覚だったのですが、半分の半分感覚でちょっと慣れてきたら、最近は「quarter」がちょっとした私のお気に入りになりました。
何かを達成したいとき、スタートがゼロでゴールが10とすると、すごくゴールが遠い気がしませんか? 1,2、そして3ステップあたりですでに疲れてうわぁ、まだ半分も行ってないよ、と。
だからクォーター制で考えることにしたのです。スタートがゼロでゴールが4。そうすると、あら不思議、1,2ステップで「あ、もう半分達成!よし、後半頑張ろう!」続いてステップ3。4ステップ目はなんだ、もうゴール! 終了。
 こうやって4クオーターを何回か繰り返すとすごく遠くのゴールも達成できそうな気になれるのです。
これ、気がついたら、テニスやフットボール(4回のトライ)と同じカウントの仕方ですね。

4って中途半端な数だと思っていましたが、なかなか便利じゃありませんか。 どうでしょうか?

ところで、最後に、とても気になっていることがあるのですが、
日本語の「四半期」「第1四半期」という言い方。半=半分、半分に分ける、という言う意味なのでおかしくありませんか? 「四分期」と「分」という漢字を当てた方が絶対にわかりやすいと思うのですが。 quarterの輸入後に和訳したのだと思うのですが、誰が考えた言葉なんでしょうね。

では、2月も第1四「分」期が過ぎましたが、元気で第2quarterも頑張っていきましょー!!! 極寒のこの時期、みなさん、風邪などお召しになりませんように、お元気で。



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